400年の歴史ある場所で、あたたかな女将がお出迎え
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「素晴らしい日の会場に選んでいただけたのだとしたら これほどありがたいことはありません。」
400年の歴史ある場所で、あたたかな女将がお出迎え

世界中の人々が訪れる京都有数の観光地、八坂神社。観光客で賑わうエリアの奥に、驚くほど静かな空間が広がっていることをご存知でしょうか?

八坂神社が建つ円山公園を左手に、木々が連なる坂道をゆっくりと登っていきます。市内の喧騒がだんだんと遠ざかっていき、緑に包まれた静けさの中へ…そこに現れるのが、「左阿彌」の看板です。

東山の山肌に溶けこむように建つ、料亭左阿彌。その歴史は、今から400年前、西暦1615年に遡ります。安養寺の末寺として建てられた左阿彌は、「円山の六坊」とも呼ばれ、参拝者のための宿泊施設・宿坊の役割を果たしていました。料亭としての始まりは、1849年。以来、170年もの間にわたり、数多くの客人をもてなしてきました。川端康成や志賀直哉といった文豪も訪れ、作品の中に「左阿彌」の名を登場させています。

春には満開の桜、夏には輝く緑、秋には鮮やかな紅葉と、四季折々の表情を見せる庭。また、館内には、大きな窓から庭を臨む畳敷きの広間や、京都市内を一望できるテラス付きの広間などがあり、披露宴の会場として使われています。 今回は、これまで数多くの披露宴に立ち合われてきた、女将の森田富士子(もりた ふじこ)さんにお話を伺いました。

料亭左阿彌 森田富士子さん

世界中から憧れが集まる「京都の結婚式」

ー左阿彌では、素晴らしいロケーションのお部屋で披露宴が行えるそうですね。

400年の歴史を持つ場所をお預かりし、京都の東山という素晴らしい場所でお商売をさせていただける。幸せなことです。

これまで、数多くのご披露宴に立ち合わせていただきました。京都府内はもちろん、日本全国、そして海外からも、「京都で披露宴を挙げたい」という新郎新婦さまがいらっしゃいます。舞妓さんや芸妓さんをお呼びしての演出や、人力車でのお出迎え。そういったことができるのも、京都の料亭ならではかもしれません。一生の思い出に残るご披露宴ができるのではないでしょうか。

ー披露宴には、どのようなお気持ちで関わっていらっしゃるのでしょうか。

ご披露宴のお手伝いに入らせていただくと、会場のお声が耳に入ってきます。ご家族、ご友人のスピーチ、新婦さまが読む感謝のお手紙。聞いていると涙が出てくるんです。「私が泣いたらあかん」と思うのですが、涙が止まりません。数えきれないほどのご披露宴に参加しても、毎回、感動します。

これまで一生懸命、新郎新婦さまが生きていらっしゃったこと。おふたりを祝福されている皆さまの心からの笑顔。ご両親も、今日を迎えてどれだけ喜んでいらっしゃるでしょう。ご披露宴の思い出は、一生残るもの。素晴らしい日の会場に、左阿彌を選んでいただけたのだとしたら、これほどありがたいことはありません。スタッフといつも話すんです。「こんな仕事をさせていただける私たちは、幸せ者やね」って。

お客様のため、自分にできることを、ただ一生懸命に

ーお客さまがいらっしゃる際には、女将さん自らが玄関でお出迎えの「篠笛」を演奏されると伺いました。

はい。少しでもお客様に喜んでもらうために、自分に何ができるだろう?そう考えていた時に出合ったのが、篠笛だったんです。

実は、私は、40歳を過ぎるまでずっと専業主婦をしていました。それが、家族の事情で突然、左阿彌の女将を務めることになり…最初は主人にも「できるわけがないだろう」と反対されました。何とか女将業をスタートしたものの、始めは素人同然です。仲居さんにも、当時の料理長にも、女将としては認めてもらえませんでした。「こんなことも知らないのか」と笑われ、泣きながら円山公園を歩いたこともあります。

ー女将さんにもそんな時代があったのですか。

やることなすことがうまくいかず、女将としての自分に、少しも自信が持てませんでした。でも、思ったんです。「私がオドオドしていたら、きっとそれがお客様にも伝わってしまう」と。ここは祇園町。お客様にくつろいでいただくためには、オドオドしている女将ではいけない。自分に自信をつけよう、と思いました。

そこで、「何かひとつのことをやり通す」と決めたんです。何でも良かったのですが、せっかくなら日本の伝統芸能で、お客様に喜んでもらえることがいい。手芸、玉すだれ、飴細工…いろいろ試してみて、不思議とぴったりはまったのが、”篠笛”でした。初めの1年間は、ひとつも音が出ませんでした。女将業の合間を縫って、毎日8時間。1日も欠かさずに練習しました。辛くなった時には、自分に言い聞かせました。「絶対にやってみせる」「きっとできる」って。そして、女将になって3年くらいがたった頃。到底聞けるものではなかったと思いますが、やっとお客様の前で演奏ができるようになったんです。

ーお客さまの前で吹く篠笛の音は、女将さんにとって特別な意味を持つのですね。

自分にできることが見つかり、スタッフやお客さまに対しても、堂々と接することができるようになりました。「やればできる」何に対してもそう思えるようになったんです。

目指すのは、「あったかい店」

ーお客様の喜ぶ姿を見られるのが、本当にお好きなのですね。

始めた頃には辛くて仕方なかった女将業が、今では私の生きがいです。たくさんの方と出会い、色々なことを教えていただける。ご披露宴に関わらせていただく度に、感動で胸がいっぱいになる。これほど素晴らしい仕事があるでしょうか。

ご披露宴に参列されたお客さまが、左阿彌にいらっしゃるのは、一生のうち1回限りかもしれません。でも、何年経っても、「あの店は、あったかかったなあ」と思い出してもらえる。そんな店になりたい、と思っています。

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料亭 左阿彌
〒605-0071 京都市東山区円山公園
結婚式お問い合わせ:LST WEDDING(075-351-6611)
http://www.lst.jp